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あなたの知らない兼六園

10.07.2024

金沢で最も有名な観光地であり、日本三大庭園の1つの兼六園。
ふらっとお散歩に行って自然や四季を感じたり、歴史的背景や物語を感じながらゆっくり堪能する時間も素敵ですね。また、遊園する際のおすすめの季節や時間帯なども併せて、あなたの知らない兼六園の顔をご紹介させていただきます。

目次
1.兼六園の四季彩
2.真弓坂
3.瓢池×海石塔×翠滝
4.噴水
5.黄門橋
6.栄螺山×霞ヶ池
7.蓬莱島
8.徽軫灯籠
9.雁行橋
10.七福神山
11.根上松
12.花見橋
13.鶺鴒島
14.最後に

 

1.兼六園の四季彩

兼六園は自然豊かな庭園としても知られています。園内の樹木や草花は四季の変化を映し出し、季節や天候、時間帯によっても様々な表情で私達の目を飽きさせることなく楽しませてくれます。

– 春 –

兼六園の春の主役は何と言っても桜です。桜ケ岡や蓮池門通りなど桜鑑賞スポットが数多くある園内。兼六園には約40種類、420本ほどの桜があるそうですが、その中でも最も美しいと言われる「兼六園菊桜」という、とても珍しい品種があります。1つの花に300枚以上の花弁を持ち、濃紅、薄紅、白と色が移り変わっていくのが特徴。 1969(昭和44)年に枯死した初代は日本で唯一の天然記念物として有名だったそうです。現在は2代目が兼六園の春を盛り上げてくれています。開花時期には兼六園が桜で溢れていて見応えがあります。夜間には桜がライトアップされ、優しい光に照らされた美しい夜桜を楽しめます。この期間は、兼六園が無料開放されます。

– 夏 –

初夏には、曲水のカキツバタ、ツツジ、アヤメなど色鮮やかな花々が兼六園を彩り始め、鮮やかな新緑とともに庭園の草木が最も活気付きます。梅雨時期のしっとりと濡れた若草、陽光が降り注ぎ輝く辺り一面の新緑、どの表情を切り取っても美しいです。その日によって移りゆく自然の表情を味わえます。

– 秋 –

秋は紅葉を求めて、大勢の見物客で賑わいます。この頃の兼六園では、冬を迎えるための準備、雪吊り作業が行われます。この頃にも夜間のライトアップが開催されます。雪吊りと黄金に輝く紅葉のコントラストが感動的な美しさで光に照らされた幻想的な空間が広がります。秋の兼六園も夜間のライトアップと無料開放されています。この時期のライトアップは、霞ヶ池に浮かぶ蓬莱島の綺麗に染まった紅葉が池に映り込み、シャッターを切らずにはいられない迫力です。

– 冬 –

秋から園内の松などでは、恒例の「雪吊り」作業が始まります。これは北陸特有の水分を含んだ重たい雪によって、枝が折れるのを防ぐためのものです。木の頂点から傘のように広げられた縄は、美しい幾何学模様を描き、兼六園の冬の風景には欠かせない風物詩となっています。その中でも園内で最も立派な枝を誇る「唐崎松」の雪吊りは見応えがあります。雪が積もる兼六園は、春夏秋とはまた違った風情があります。真っ白な雪と、雪吊りを施された約240 本の樹木による静かなる風景は、心洗われる別世界です。冬季もまた夜間の無料開放ライトアップが行われています。


2.真弓坂

KANAME INN TATEMACHIから兼六園へはこの「真弓坂」からの入場をおすすめします。21世紀美術館や繁華街からもほど近く、昔もいまも町の賑わいをより感じられる坂です。また、金沢城の石川門へのアクセスが最も便利なのは桂坂ですが、多くの人が利用するので混雑を避けるには真弓坂からの入場をおすすめします。兼六園内へと続く真弓坂を登っていくと、前方の小道が視界を遮り、庭園が見えなくなります。これにより、登った先でどんな景色が待っているのか、まだ見ぬものへの期待が高まります。


3.瓢池×海石塔×翠滝

瓢池周辺はかつて蓮池庭と呼ばれ、現在の兼六園はこの辺りからはじまったと言われています。その名の通り、池の形はくびれており瓢箪のような形をしています。
瓢池の中に建つ6層からなる塔が海石塔。3代藩主である利常によってつくられ、金沢城の庭園にあった13層の石塔の一部を移したという説や、朝鮮出兵の際に加藤清正が持ち帰ったものを、のちに豊臣秀吉が前田利家に贈ったという説があります。
霞ヶ池から流れ出て、瓢池に注ぎ込む大滝が翠滝です。夕顔亭という兼六園の中で最も古い茶室の対岸にあり、高さ6.6m、幅1.6mほどの大きさで水量や滝音も大きく、目と耳を同時に楽しませてくれます。また、翠滝の前には枝垂桜が垂れ下がっており、春には美しい桜とあわせて楽しめます。兼六園のなかでも最もすぐれた庭景の1つとも言われています。


4.噴水

この噴水は霞ヶ池を水源とし、水位変化による自然の水圧のみであがっています。金沢城内の二ノ丸に水を引くための試作品とも伝えられています。日本で最初に造られた最古の噴水です。


5.黄門橋

戸室石でできたこの橋は、一枚石を二枚石に見えるような立体感を持たせた細工が施されています。このような独創的な黄門橋は、兼六園の美しい景観をより引き立てています。


6.栄螺山×霞ヶ池

13代藩主である斉泰が霞ヶ池を掘ったときの土でつくった山。頂上へ登る道は、時計回りでぐるぐるとうずを巻き、まるで栄螺の殻を思わせることからこの名が付いています。高さ9mの栄螺山の山頂には「避雨亭」と呼ばれるものがあります。屋根が傘の形をしていることから、栄螺山は別名傘山とも呼ばれています。避雨亭はその名前の通り雨を避けるために造られたものではありますが、兼六園の景観づくりに一役買っています。冬には雪と調和し、趣深い景色を見ることができます。眼下には霞ヶ池の美しい景色を見下ろすことができ、南側へと下りていくと、水面に鯉が集まってきます。ここでは亀や水鳥も見かけることができます。


7.蓬莱島

霞ヶ池の中に浮かぶ一際目を惹く島が蓬莱島です。もみじの木の下にあるベンチに腰をかけてゆっくりと蓬莱島を眺めることができます。池の真ん中にあるこの島は、その丸い形から「亀島」とも呼ばれています。南側にある大きな岩が頭、北側にある小さな塔が尻尾のように見えます。


8.徽軫(ことじ)灯籠

霞ヶ池の北側にある兼六園を代表する景観です。徽軫灯籠は足が二股になっており、琴の糸を支える琴柱に似ていることから名付けられたとされています。二股の脚は元々は同じ長さでしたが、何らかの原因で片脚が折れてしまいました。折れた脚の修復はせず「不完全な美しさ」として、石の上に片脚を乗せた状態で保存されています。この象徴的な灯籠は兼六園のみならず、金沢のシンボルでもあります。


9.雁行橋

11枚の戸室石を使用し、雁が列をつくり空を飛んでいく様子をかたどった「雁行橋」。個々の石が亀の甲羅の形をしていることから「亀甲橋」とも言われ、この橋を渡ると長生きすると言われています。また、この橋は「入」の字に似ているので歓迎されているような気持ちになります。


10.七福神山

12代藩主である斉広が造った竹沢御殿の庭園の一部です。「福寿山」とも呼ばれるこの山は、曲水、築山、雪見灯籠など、当時のままの雰囲気を伝えています。7つの石を七福神になぞらえていることからこの名がついています。


11.根上松

約40本もの根が地上2mにまでせり上がった景観は自然が作り出した迫力のあるアートです。この根上松もまた兼六園の見どころの1つとなっています。この松は、13代藩主である斉泰が土を盛り上げて若松を植え、根を土で覆い、成長後に地上に盛り上げた土をのぞいて根をあらわにしたものだと伝えられています。


12.花見橋

木造の「花見橋」は、兼六園内で人気のエリアの1つです。橋から見る花の眺めの素晴らしさから、この名前がつきました。春になると、桜やツツジ、カキツバタなどが緩やかに流れる曲水に沿って咲き誇り、多くの人を魅了します。夏には曲がりくねった小川の岸辺にアヤメなどが咲き、彩りを添えます。秋の紅葉や冬の雪景色も見逃せません。
年間を通して、水辺は緑豊かな草木に囲まれ、さまざまな水鳥が生息しています。


13.鶺鴒島

その昔、いざなみといざなぎの尊が、子作りの方法を鶺鴒から教わったということから、この名が付けられました。正面に鳥居があり、その奥に「誕生」「結婚」「死」の3つの意味を表す、「陰陽石」「相生の松」「五重の石塔」を配置して、人生の三儀式を表しています。


14.最後に

訪れてみたい場所、季節はありましたか?
金沢の繁華街や観光地は、他県に比べてコンパクトにまとまっていて1日で回りきれてしまいそうですが、一箇所を掘り下げてみると時間が足りないように感じます。
特に、兼六園のような自然や歴史に溢れる観光地は季節や時間を変えて何度でも訪れたくなる場所です。

– 特別名勝 兼六園 –
  石川県金沢市兼六町1 Map
  076-221-3553
  Kaname Inn Tatemachiからは、徒歩で約12分
  詳細はホームページ

 

chihiro

KANAME INN TATEMACHI フロントスタッフ モダン建築/アート/料理/ナチュラルワイン